★★★
いやつまんないと思ったんですよ。だってさ、だってだって、中学生でしょう。ハチベエかっていう話で。でもおもしろかった。くやしい。
クビをかしげるリーマンに僕は続きの言葉をのみこんでいた。教室を駆け出していくユズルの笑顔を思い出す。あのときユズルは本当に自分が空を飛べると思っていたんじゃないだろうか。ユズルやぼくたちみたいな中学生だけでなく、誰にだってなんでもできると思いこむときがある。もちろんそんな思い込みは間違っていて、現実の地面に急降下してクラッシュしちゃうんだけど、その瞬間はほんとうになんでもできるって感じがするのだ。
そういうのはまったく悪くない感じだ。単純な思い込みでも勘違いでもニュートンの法則よりももっと強く自分のことを信じていられるだから。
だが、この世界には善意から最悪の事態を引き起こしてしまう人間がいるのだ。イズミのその美しさは、その無神経の代償なのかも知れない。
誰かが自分を捨てて心から話す言葉には力があるのだとぼくは理解した。
