最近、あれがアレゲな感じでございまして省エネエントリ。で、2007年に読んだ本のレビューしようと思ったらもう2月ですが、まぁ、そういうことで。
過去のは以下。
ということで07年に読んで刺さった本、ベスト10(13)。母数はどうだろうな、小説だけだと100冊弱か。昨年は移動時間が多かったので読む時間も増えました。
■番外: 石田 衣良 「スローグッドバイ 」
出す小説にはずれなしの石田さん。ウエストゲートパークも相変わらず定番の強さだし、短編もバラエティに富んでいてやはり王道(ただ個人的には長編が好き)。
昨年も、かなり石田さんにはお世話になっていたことが判明。以下の11冊ほど読んだようですが1つ選ぶなら「スローグッドバイ」だろうか。「東京DOLL」の言葉もよかったけれど。
- スローグッドバイ (読んだ本)
- 骨音 池袋ウエストゲートパーク3 (読んだ本)
- 電子の星 池袋ウエストゲートパークIV (読んだ本)
- 赤(ルージュ)・黒(ノワール)―池袋ウエストゲートパーク外伝 (読んだ本)
- LAST (ラスト) (読んだ本)
- エンジェル (読んだ本)
- 1ポンドの悲しみ (読んだ本)
- 約束 (読んだ本)
- 反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク5 (読んだ本)
- 東京DOLL (読んだ本)
- 少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉 (読んだ本)
以下、雑多に引用まで。
雑談を交しながら彼女はぼくの手を15分ほど愛撫した。ジャケットの裾に隠れて見えないが右上は肩の付け根まで鳥肌がたったままだった。
男と女が求めるタイミングは絶対に一致しないように定められている。
肉体はフラクタル構造なのだ。全体のバランスの素晴らしさは細部でも自己模倣を繰り返す。
女性の欲望は男性には透明なのだ。素直に表現されると、それだけで感謝の対象になる。
泣いた後は敏感になるのだと、どこかの女性誌のセックス特集で読んだけれど、実際園通りだった。
ねえ知ってる。恋愛小説の90%は美男美女がでてきてなんらかの渉外にあい、ハッピーエンドになったりならなかったりする話なのよ。
ある日本人の哲学者はまじかに性行為をするのが確率した時間に感じるときめきを、「かけがえのない充実した生の経験」であるといった。ぼくはそれに、ほとんど口をきいたことがない女の子との最初のキスまでの時間をつけ加えたい。
■12位: 伊坂 幸太郎 「チルドレン」
もはやご説明不要の「伊坂」さん。読んだ人をとりあえず離さない魔力がそこに。ただ昨年読んだのは一冊だけかな?
あいつは常に何かを主張している
思ったことの全てを口に出さないくらいの常識は僕にだってある。
「世の中に、絶対、と断言できることが何一つないなんて、生きている意味ないだろう。」■11位: 東山 彰良 「ワイルド・サイドを歩け」
中略
「わたしと永瀬はその根拠のない断定に呆れるよりも感動した。
07年に知った作家で、「今後もこの作家の本は買い続けるだろうな」と思った作家の1人。
あと「逃亡作法」も必読。
以下、タランティーノばりの名セリフ引用。
「読者が想像できない表現は比喩とは言えないわよ、やっぱり」
つまりそういうことだ。虐げられているほうがブチ切れた時、歴史は動く。ヒトラーだってそうだろ。
イジーにとっての自由とは永遠に自由になれないことを自覚するところからはじまる。そうすればクソまみれのレールだろうがなんだろうが、音速で駆け抜けられる。
噛む噛まないは犬のほうの問題でどう噛まれるかは自分の問題だ。どうせ噛まれるなら、逃げないほうがいい。
売春婦は男が金を払ってでもやりたい女で、淫乱女は音に金を払ってでもやってもらいたい女なんだって。
ネズミでさえもこうも違う。リキは思った。人間とてもそのいる場所で価値が決まるのだ。
■10位: 藤原 伊織 「シリウスの道」
相変わらず面白い藤原さん。前回の「ひげ」がいまいちで、それから数年ぶりに読んだのだけど、やっぱり、やたらめったら面白い。今回は広告の世界が舞台ということで本領発揮。
藤原さんを読んでいる人に共通するのは森博嗣さんも読んでいることではないか。嘘?
このややこしいご時世ではたぶん問題を抱えていない人間の方が絶滅種に近いのだ。
それだけでいいのだ。なにもいわず彼女を抱き返すその一瞬からたぶんすべてが変わる。
主役をひねりだす頭脳労働をアイデアっていうんだ。
「自己満足かもしれない」
「満足に自己満足以外の満足があるんですか?」
こんな時代に、どんな覚悟の用意を持つ青年がいる。
恥を恐れたらそこで終わりだ。
赤の他人に自分の弱点を無条件に晒すことのできる人間は弱さからもっとも遠い場所にいる。» シリウスの道 (読んだ本)
■9位: 垣根 涼介 「ヒートアイランド」
07年知った作家でささった作家の1人「垣根」氏。サウダージも読んだのだけど、行方不明。個人的にはヒートアイランドがよかった。今、ワイルドソウル読んでます。
性的なシーンが多いのは好きか嫌いかは分かれるところ。あと車の書き込みがすごい。女性受けはしにくいのでは、と勝手に思った。実際、ピンとこなかったという意見も頂戴した。
南米系の話が多いので、南米好きとしては非常に愉快に読めるなり。
何も考えていない阿呆に限って、もっともらしい理屈をこねたがる。
「着地点は誰でも同じだ。ただ早いか遅いかだけだ。自分を必要以上に特別だと思わないことだ。そうすりゃ、少しは気楽にいける。」
■8位: 大崎 善生 「孤独か、それに等しいもの」
大崎さんといえば「パイロットフィッシュ」な方も多かろうと思いますが。ドナウのなんちゃらも読んだけど、やっぱり小説のほうがよいと思いました。
僕もわからなくなると真夜中に台所に立って鍋を磨く。一時間も二時間も。本当だよ。
それにきっとこの世にはヒステリーという名前のバス停を持っていない女の子だって存在しているに決まっている。
こうして僕たちは欲望の坂道をただ転がっていけばいいのだ。その先にあるものを恐れることなかない。ただ石ころとなり転がり続ければいい。
アメリカの小説にあったような気がする。この世の正しいことの全てはシャワーを浴びた後にされることだ。
■7位:枡野 浩一 「ショートソング 」
枡野さんの。短歌や俳句とはショートソング也。
昔読んだ安西水丸の小説に書いてあった気がする。風邪をひくのは何かを放棄したときだ、と。
手荷物の重みを命綱にして通過電車を見送っている。
葬式は生きるわれわれのためにやる 君を片付けて生きていくため
坂の多い街に生まれ育った で 君の生い立ち話は終わる
ブラひもがみえることとか そのひもがみせるためのであることとか
それなりに心苦しい 君からの電話をとらず変える体位は
向こうから歩いてきてる人たちの笑顔のわけがよくわからない■6位: 三崎 亜記 「となり町戦争 」
出オチといわれようが、文体が春樹っぽいといわれようが、なんとも感銘を受けた一作。内容としては、隣町で戦争が始まるという話でそのまま。
でも、そんなアイデアを「読みやすく」しかし「深く」ここまで記せるセンスはあまりみない。
なんで素晴らしいと思ったんだろう?想像力と奇抜な舞台設定、そしてここまで平易な文章で、かつ「エンタテイメント」として書かれている点。
■5位: 本多 孝好 「ALONE TOGETHER」
もうおなじみ本多さん。常にはまる。でも、ある方いわく「真夜中の五分前」はピンとこずという意見ももらった。
» 時間の「借り」という恐ろしい資本主義の構造 (いけいけどんどん)
» ALONE TOGETHERを読んだ (いけいけどんどん)
一ヵ月後に訪れたその年の夏は暴力的とも呼べる暑さだった。
「文句あるなら言うてみいや」と太陽がなぜか関西弁で啖呵を切りながら空を独占していた
知らないの?人生って綱渡りなのよ。
エリートは貸しを作ることは気にしないけれど、借りを作ることは嫌う。 資本主義というシステムを知り尽くしているからだ。 借りには必ず利子がつくことをわかっている。
まさか安井がそんなことをするとは思っていなかったけど責任というものは結果にともなうものあって、意志に伴うものではない。
セックスに関して
「することが変わるわけじゃないでしょ」とサクラは言った。
もっともな意見だったがそんなことを言ってしまえば大概の物語と音楽と絵画はその存在意義をなくす。
「正論ですね」と 僕の声はいった。
「けれど、僕の知る限り、人は正論では動きません。
才能というものが自分の力を信じきることできる能力だとするなら、彼女にはそれが賭けていたのだと思います。
バカいうなよ、と僕はいった。「明日、会社だろうが」
「だからどうした」と友人はいった。
「久しぶりに会って変わったと言われれば大概の女は気を悪くする」
自分自身を哀れむことのおろかさを僕は初めて自分に許していた。
人は、顔を見ているとその人を好きになっていくって。
正論だった。非の打ち所のない正論だった。けれど、もちろん、正論は、ただ振り回せばいいというものではない。
■4位: 室積 光 「都立水商」
買ってずっと読んでいなかった本。しかしふらっと読んで「やられた!」と。
この水商売の学校というコンセプトもキレキレだけれど、そのアイデアをアイデアで終わりじゃなくて物語としたてあげているので引き込まれました。
何よりエンターテイメントというものを完璧まで体現。泣き所、恋愛、勝負どころ、窮地とお約束をきちんと詰め込んでいる。もう一作の「どすこい」はいまいちだけど、エンターテイメント小説としては完璧な計算だと思われます。
ある都市国家にホモばかり集めた軍隊があってこれが強い。~どうして強かったかわかるか?
「どうしてですか?」
「戦いになると、互いに恋人を守るために必死で戦うんだよ。
■3位: 村上龍「半島を出よ」
さすが龍さん。
読めば間違いなく面白いのをぶち込んでくださいます(特に長編)。ただ、読もうとするまでテンションがなかなかあがらない。
相変わらず鬼のような描写と、「ぐっと」くるエピソード、そして壮大の構想力には感服。もちろん、この壮大な話を裏付ける情報の収集・集約も圧巻。この人の記憶力がすごいんだろうなぁ。
極度に不安定な状態の物質が急激に安定しようとするという概念がタケグチは気に入った。
そもそもおせっかいという言葉を使った瞬間にイシハラはカネシロを打ち負かしていたのだ。
重要なのは質問で、横川はそのことをソウル支局で学んだ。
基本的に政治は対立を前提とする。
いずれ日本政府は福岡を見捨てるに決まっているとモリは思った。何かを見捨てようとしている人間はそのことに触れようとしないものだ。
でも、その原因はまだわかっていないんだけど、中南米のジャングルから離れるとカエルの毒は消えてしまうんだ。
何かを選ぶといういことは何かを捨てることで、それがあんたにはわからなかっただけだとそうい思ったが・・・。
若い母親はある時期、子供のヨダレやオシッコやウンコにまみれながら過ごし、動物的な母性を獲得していくのだとある育児書に書いてあったが、まさにその通りだと思った。
■2位: 森見 登美彦「水曜の朝、午前三時」
青春文学として、かなりパワーのある作家ではないでしょうか。今年初めて知った作家なのだけど、2作ぐっときた。
青春ならではの葛藤や恋愛、人生などへの悩みが、練られた言葉とともに綴られる。
灼熱の砂漠でようやく生きる術を見に付け、ともかくも自己充足している人間に対し、なぜいまさらのように不要な恵みをたれるのか。
母はよく私にいっていました。後に悔いを残したくなかったら言うべきか
精神が位置エネルギーを持つとしたら落下するときにはエネルギーを放出するはずだ。」
(中略)
我々は人類を救うことになる絶大なエネルギーを思った。挫折、失恋、死に至る病、あらゆる苦悩が有益なエネルギーに変換され、自動車を走らせ飛行機を飛ばし、インターネットはつなぎ放題、アダルトビデオは見放題となる。
■1位: 西尾維新「戯言」シリーズ
氏に関しては、ある種の人々にとってはイコンでもあるのではないか。この執筆量とラノベを超越した物語。
私はもはや説明する言葉をあまり持たないけれど。知らない人のために補足しておくと、んーーー、推理でくくればいいのかしら?メフィストだしな。んと、なんというか、個人的には「ジョジョ」と「森博嗣」を組み合わせて割ったような作家。詳細はwikipediaにて。
ひとついえるのは、嫌いな人は大嫌いで受け付けないだろうな、ということくらい。周りの評価は「8対2」で8割がハマル。
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