ポール・オースター 柴田 元幸 Paul Auster
新潮社 (1999/12)
売り上げランキング: 142,903
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この世で最高の本の1つ。
ポールオースターのリヴァイアサン。
ポールオールスター自体、名作ばかりの作家だけれども。
まぁ、今回の主人公のサックスってのが魅力的ですな。
永沢的ストイックさ。
彼は決して価値判断を下さなかった。
誰かを見下したり社会的地位で人を区別したりもなかった。バーテンでも作家でも彼にとっては等しく興味の対象であった。
というような人で、
サックスはつねに、話している相手が非常な知性の持ち主だという前提から出発し、
それが相手に、自分は威厳と重みのある人間なのだという思いを吹き込んだ。
そういう人間の最良の部分を引き出す持ち前の際が私にとっても、彼という人間の中で一番素晴らしく思えたところだと思う。
というような人です。
ここは、キズキ君に似てますね。
■
世界の様々な愚かしさは彼をうんざりさせた。
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要するに頑固だただけだよ。逃げたくはなかった。
面と向かって自分の思っていることをきちん伝える責任があると思ったんだ。それをやろうと思ったら身体を張るしかない。
このフレーズを聞くと、
なぜかジャーナリストの辺見庸氏を思い出します。
■
お前はここで暮らすんだ。自分にそう言い聞かせた。
僕の世界の境界線は縮んでしまった。でも僕はまだ生きている。
とにかく息ができて、屁がこけて、好きなことを考えていられる。それができる限りどこにいようと同じじゃないか。
漱石の草枕の冒頭を彷彿させる。
(あの世は尚更住みにくかろう)
■
彼がNYへきたのは神が死んだせいだ、とサックスはあるとき私に言ったことがある。
これまたいかにも彼らしい謎めいた言い方であり、その童謡的とでも言うべき論理がみえてくるまでは、まったくのナンセンスに思える。
要するにこういうことだ。
1880年代のユダヤ人大虐殺は皇帝アレクサンドル2世の暗殺が引き金となってはじまった。
皇帝を暗殺したのはロシアの虚無主義者である。
そして虚無主義者たちが虚無主義を奉じたのは、神は存在しないと信じるに至ったからである。
考えてみれば単純な等式だが、あいだの連鎖がみえてくるまでは訳がわからない。
釘が一本たりなかったせいで王国が失われたという言い方があるが、
サックスの物言いもそれに似ている。
その死を知っていれば解かる。知っていなければ解からない。
知り合いの女の三段論法を使う人を彷彿させます。
■
相当の自身がなければ、なかなかあそこまで自分をコケにできるものではない。
蛇足だけど、自虐ってのは、
難しいけど、強いと思う。
■
お前のお父さんは素晴らしい人だったろうよ。あれで別の人だったらね。
■
何よりいらただしいのもこの点だった。
欲望を抱いたこと自体ではなく、その欲望を一件否定する行為を、実はそれを満たす手段として不実に使ったこと。
深いなぁ。
■
破局の核はここにあると思う。
すべての人間の弱さ、もろさを受け入れておきながら
いざ、自分の事となるとサックスは完璧さを追求し、どんな些細な行為においても、
ほとんど超人的な厳しさを己に課した。
■
そこで起きた出来事を伝えることがいまだに私にショックを与えるのは、現実というものが常にわれわれが創造しうることの一歩先を言っているからにほかならない。
非常に同意。
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まっすぐに彼を見据えたまま、涙が頬をながれるままにしていた。
そこに涙があるのを認める気がないように、手も触れもしなかった。
プライドの高い泣き方だ、とサックスは思った。
苦しみをさらけ出す涙でありながら同時にその涙に屈することを拒んでいる。
リリアンがこれほど懸命に自分を失わずにいることにサックスは敬意を抱いた。
涙を無視する限り、涙を拭い去らない限り、その涙が彼女を辱めることにはならないからだ。
初めて読んだのが10代だったような気がするのだが、
このフレーズが一番、記憶にインパクトを与えた覚えがある。
こういう考え方があるんだなぁ、と。
山田詠美的でもあるけれど。
■
プレッシャー、孤独、だがサックスは不安をまるで相手にしなかった。
とにかくその時そ時きにやっていることに没頭しているからそういうことを考えている暇もないね。
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