「後で食器洗い機にいれておくから」
「それっていつになってもいれないってことね」
今日は一冊の本を紹介する。
素晴らしい言葉が散りばめられた一冊だ。
一冊の本というのは、1つの哲学である。
正確に記すならば、1つ以上の哲学のような何か、である。
ゆえに、本を紹介するということは、
本を読めというものではなく、
本というツールを使って、そこに存在する生き方を提示することに他ならない。
という前おきはどうでも良い。
ハニフクレイシという作家の
「ぼくは静かに揺れ動く」
そもそも出版社が「アーティストハウス」という大手ではないところ。
確か、数年前(5年以上前だっけ?)くらいに
オシャレな本を出そうという一環で始まったものの一冊だったような気がする。
文庫でもハードカバーでもなくソフトカバーという体裁。
売れたのかどうかは解からない。
ハニフクレイシという作家自体は有名ではないが、
なかなか面白い文章を書く人だった。
紹介を引用してみると、
「別の女性に心を奪われているんだ」とぼくは言った。
妻はぼくと違って、自らの人生に幻滅したり失望したりしたことが一度としてない。
感情が揺れ動く範囲はきわめて狭い。友人は言う。
「結婚とは戦いであり、地獄の季節なんだ」と。
そんな本だったけかなぁ、と思う。
なんせ海外旅行に行く前に読んだはずだから、3年以上前だ。
ここだけ読むと、
「嫉妬の香り」とか「国境の東・・・」とかを考えてしますが、
もっとカラっとした小説だった。
ただ、それなりに面白かった記憶があり
メモが残っているので、それを利用する。
■チャック
例えば、コレ。
常にチャックを開けるというリスクヘッジを行う私にとって、下記の言葉は響いた。
強くAgreeである。
「どうして浴槽のドアをいつもあけっぱなしにしておくの?」
「なんだって」
「どうして閉めないのよ?」
ぼくはそのわけが思いつかない
■パラドキシカル
人を傷つけるというのは、
不承不承ながらも親密にならざるを得ない行為だ
一件さらっと読めてしまう文章だけれども、
非常に、深い示唆を与えてくれる言葉である。
ここに存在するのは二律背反のジレンマではなく、時間軸を利用したプロセスの妙味である。
■スカート
また、ライ麦畑的なフレーズはこちら。
スカートは、劇場のカーテンのように僕の好奇心を刺激した。
その奥になにがあるのか、ぼくは知りたくてたまらなかった。
~中略~
スカートは変移するものだった。
本来の役割を果たすものであると同時に、どこか別のところへとたどり着くための手段でもあった。
世界は僕がまくりあげたいスカートなのだ
確かに、スカートというものはアフォーダンス的には
イエローバンクにおけるオーロラに通ずるものがあり、全ての可能性が詰まった
パンドラの箱と形容的に相似であることは、
指摘を待つまでもない事実である。
■ファック
そして、春樹の「ボートはボート。ファックはファック」にも通ずるアフォリズムはコレ。
「たかがファックじゃないか」
「ファックには何かしらの意味があるんだ」
そして、さらに春樹的な修辞。
しかし、ここまで非妥協的な味のトマトを食べたのは初めてだった。
どうでもいいけど、最近、あまりにもプライドをもったカボチャのパスタを食べた。
なんというか、一口食べただけで、あごを動かすのが億劫になるほど
濃いパスタだった。
■ソフィー
歌の歌詞のようなフレーズ
今夜ぼくは自分が決めた範囲内の狂乱状態でいたい
ウィット。
僕の場合、ただ仕事にでかけるだけでも「ソフィーの選択」の気分だよ
原田の場合は、外に出るだけでも
北斗の拳の気分です。
■若さ
アイロニーの効いた非常に共感できる言葉。
若かったころ、本を最初から読み始め、
最後まで全部読み通すという過ちをしでかすこともしばしばだった。
性的解放は、
ほとんどの人が何とか成し遂げることのできる神秘体験のようなものだ
■ゴールデンゴール
そして、最後に、私の大脳新皮質にローリングソバットを決めたフレーズはコレ。
或る昼さがりのこと、僕は彼女の上に乗っかっていた。
こんな素晴らしい書き出しの小説は、川端康成か、トルストイかってなもんですよ。
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コメント (6)
はじめまして。
すっかり夢中になって読んでしまいました。
>人を傷つけるというのは、
>不承不承ながらも親密にならざるを得ない行為だ
確かに、本当にそのとおりなんですよね
傷つく事だと知っていながら
あえて傷つく事を言う事
と、
関係を終わりにしてもいいぐらいの
勢いで相手を傷つける行為
この二つの親密度に違いがある感じがします。
投稿者: 裕 | 2006年04月21日 03:40
日時: 2006年04月21日 03:40
初めまして。
「傷つく事だと知っていながら
あえて傷つく事を言う事
と、
関係を終わりにしてもいいぐらいの
勢いで相手を傷つける行為」
という分析は興味深いですね。
僕としては、傷つくるのにとても臆病なので、
どうしても避けようとしてしまうのですが、
でも、思い返せれば
特に異性間で、何か悶着あった関係の方が
今は仲良かったりして不思議です。
コメントありがとうございます!
投稿者: 原田 | 2006年04月21日 06:06
日時: 2006年04月21日 06:06
早速のレスありがとうございます。
>僕としては、傷つくるのにとても臆病なので、
>どうしても避けようとしてしまうのですが、
それは紳士的行為に繋がると思いますよ。
私の愛する異性も避けるタイプです。笑)
今思うと愛するがゆえの、心に刺さる程の痛い強烈な言葉が二人を繋いでいるのかもしれません。
甘い言葉よりも苦い言葉の方が
ずっと印象に残り続けるというか…。
=傷いてるに繋がるのでしょうけど。
良くも、悪くも
「相手を強く想う。相手を深く考える。」
という行為につながっていく。
のかなって思います。
投稿者: 裕 | 2006年04月22日 05:13
日時: 2006年04月22日 05:13
引用文だけでしびれました。これは読みたい!
(んでクリックしたけど中古で買っちゃいました。えへ)
投稿者: アイバミカ | 2006年04月25日 10:06
日時: 2006年04月25日 10:06
わぁ!
キタコレ!
ミカさんと趣味あいますよね!
光栄です!!!やたー。
投稿者: 原田 | 2006年04月27日 00:00
日時: 2006年04月27日 00:00
わぁ!
キタコレ!
ミカさんと趣味あいますよね!
光栄です!!!やたー。
投稿者: 原田 | 2006年04月27日 00:00
日時: 2006年04月27日 00:00