ディケンズとは
「二都物語」で出会った。
すべからく他の人々が
彼の著作を愛するように、
私も、しかるべく雷に打たれた。
これは、二都物語の冒頭だ。
それはおよそ善き時代でもあれば、およそ悪しき時代でもあった。
知恵の時代であるとともに、愚痴の時代でもあった。
希望の春でもあれば、絶望の冬でもあった。
前途は全て洋々たる希望にあふれているようでもあれば、
また前途はいっさい暗黒、虚無とも消えた。
人々は真一文字に天国を指しているかのようでも有れば、
また一路その逆を歩んでいるかのようにも見えた。
要するに、すべてはあまりにも現代に似ていたのだ。
すなわち、最も口やかましい権威者のある者によれば、よしきにせよ、悪しきにせよ、
ともかく最大級の形容詞においてのに理解さるべき時代だというのだった。
そして、どこの部分が忘れたが
これまた、二都物語から抜き出した一部。
道中が長くかかるのよ。
でもね、もうちゃんと動き出しているのよ。
近づいているのよ。
動き出したからには、もう後戻りすることは絶対にないし、
止まることもないんだからね。
そういう間も、近づいているのよ。まわりを見渡してごらんよ
みんなのあの暮らし、みんなのあの顔をねえ!
それからあの百姓達の不満、怒りはどう?
なんというのかレトリックもギミックもメタファーもない。
ただ、じっとりと湧き上がる汗を生む文章のように思える。
言葉ってのは、これなんだよ、と思った高校生の冬。

