セゾニア「あなたのお好きなように。
私くらいの年になると、わかってしまうのよ、人生が辛いものだということぐらいはね。
でも、不幸がこの世にあるなら、なぜ自分から望んで不幸を増さなければいけないというの?」
「お前には理解できないのだ。
だがそれがどうだと言う。おれは多分そこから抜け出すだろう。
だが今は、俺の中で、名づけようもない生き物達が立ち上がるのをおれは感じる。
どうやってやつらを抑えることができるという?
ああ、セゾニア、俺は人間が絶望するもこともあるとは知っていた。
だがおれはこの言葉の意味するところを知らなかったのだ。
おれは、他のやつらと同じようにかんがえていた、それは魂の病気だと。
違う、苦しんでいるのは肉体なのだ。
俺の皮膚が痛む。俺の胸が。俺の手足が。
おれの頭の中はうつろなのに、俺の心臓が突き上げられる。
いや、一番我慢のならぬのは、口の中の味だ。
血でもない、死でもない、熱でもない、それが全部一緒になった味だ。
おれが舌を動かしただけで全てが真っ黒になり、人間どもは見るもおぞましい姿に変わる。
一人前の男になるとは、こんなにも辛く、苦しいことなのか。"
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