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ピンク


[ ピンク ]
<前回までのあらすじ>
男と女はかれこれ、高校の友人であった。
男は、女にずっと恋心を寄せていた。
高校を卒業してから10年間ずっと。
それまで、自分に課した貞操を守り続け、本心を隠したまま「友人」の関係は続いていた。
逆に女は、男に不自由をしたことのない「女」であった。
同窓会の帰り、二人は帰路が一緒になる。
酔いつぶれた女を、男は家まで送っていくことになる。
女の家まで、男は女を運ぶ。
ドラマのように、酔いつぶれて立てない女を、女の部屋まで運ぶ。

<最終回; 男と女のラブゲーム>
「ほら、水を飲め。ここにおいとくよ」
陳腐な言葉は、女の部屋に虚ろに響き、観葉植物のための二酸化炭素に変わる。
女は、酔いつぶれた身体で、つぶれた声を出す。
「うーん」
「じゃあ、俺は帰るからな」
男は、そう言って、立ち去ろうとする。
「パルプフィクション」のミアの部屋に行ったジョントラボルタのように。

女は魔性。
よく言ったものだ。
「ねえ、気分が悪い。これ外してちょうだい」
女は、ベッドの上に倒れたまま、男に背を向け、そう言う。
まったく、腐ったドラマのような展開。

男は、戸惑いながら、女の背中をさする。
とてもぎこちなく、まるで、スイスの羊がロンドン橋を渡る時のように。

「気分がわるいの」
その言葉を、3回反芻し、男は女の上着を脱がせる。
上着と同じブランドのシャツがあらわになり、白いシャツには、薄くアンダーウェアの形が浮かぶ。
女の額の汗と同じように。

「まだ気分がわるいか?」
女の背中をゆっくりとさすりながら、男は、震えた声を出す。
さすっている指先は、機械的に動いているだけで、心は別のところにある。

女は、うなずいているのか、呻いているのか、あえいでいるのか。
苦しそうな呼吸を続ける。
男は、別の意味で苦しそうな呼吸をかみ殺す。

女は、自分でシャツのボタンを外す。
男は、その動作の一挙一動を傍観する。
右手は、女の背中でひらがなの「の」の字を描きながら。

その時、ベッドで仰向けになった女の手がベッドテーブルを弾き、水の入ったコップが、弧を描いて、女の上に、ゆっくりと落ちた。
男の溜飲とともに。

ぬれた女のシャツ。
ぬれた男のパンツ。

女は「冷たい」と、苦しそうな呼吸。
男は、「まったく」と義務的なつぶやきをしながら
水でぬれた女のシャツを脱がす。
自分の勃起を隠しながら。
下心を隠しながら。
長年秘めた思いを隠しながら。

上着とシャツを脱がされた女の上半身は、
酒で赤く染まり、水と汗で、じっとりとぬれていた。

男は、何も見ていないように努める。
昆虫採集の小学生が蜻蛉を捕まえるときのように、不自由に。

「苦しい」
女は、かすれた声を出す。
「くるしい」
声はかすれる。部屋の水槽の浄水機がコポコポと音をたてる。

男も擦れた声で問い返す。
「どうしたら?」

女は言う
「苦しいの」
男の長年の恋もさぞ苦しかっただろう。

そして次の女の力強い言葉で男は、足腰が砕けた。
長年の恋も砕けた。
「ぶっとい浣腸して」

苦しかったのは、ベンピだったとさ。
ちゃんちゃん。
2002/11/05(Tue)


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